第14回 地学研究発表会プログラム


日時:2004年9月12日(日)14時00分〜

会場:琵琶湖博物館 セミナー室

【講演 1】

 田中 淳 氏(大阪工大・地学教室)

  「琵琶湖西岸近江舞子地域のファンデルタ群 -その陸上と水中における堆積地形と堆積物について-」

 ファンデルタとは,扇状地(ファン)の末端部がデルタとして水域に浸水して形成される堆積システムである.ファンデルタは,堆積物供給の多い急峻な堆積盆縁辺にし ばしば発達し,陸域から水中にかけての粗粒堆積物の堆積作用を考える上で重要な堆積 システムである.

 琵琶湖西岸の近江舞子地域では,比良山地東麓に発達した扇状地の末端部が直接湖中 に浸水して多数のファンデルタを形成している.ファンデルタの陸上部に相当する扇状 地は,扇面勾配が急で同心円状の典型的な扇状の地形を示す上部扇状地と,舌状に盛り 上がった複数のロ-ブとローブ間の低地から構成される下部扇状地に区分される.さら にその水中部は急傾斜のデルタ斜面を形成している.デルタ斜面上の堆積物は沖合側に 急速に細粒化しており,局所的に急峻な水中斜面の崩壊に起因するものと考えられる礫 質の特異な堆積物を含む.

 今回は,これらファンデルタの堆積地形や堆積物についてお話する.


【講演 2】

 木村克己 氏(産業技術総合研究所 地質調査総合センター)

  「付加体地質学と滋賀県およびその周辺地域のジュラ紀付加コンプ レックス」

 西南日本内帯にはジュラ紀に形成された付加コンプレックスがナップ構造を なして広 く分布している.とりわけ,この滋賀とその周辺地域には,付加過程 で形成されたナップ 構造とその内部に発達する覆瓦構造の模式的な例が認めら れる.覆瓦構造をなしている地 層の層序からは,海洋プレートの生成から沈み 込みまでに辿った堆積環境変遷の歴史が読 みとれ,ナップ構造や覆瓦構造から は,海洋プレートの沈み込みに伴う海と陸起源の岩石 の大規模な混合と付加の プロセス,そして海溝の陸側斜面に形成されている付加プリズム 内部でのダイ ナミックな構造運動が復元できる.

 この20年間,滋賀とその周辺地域では,ジュラ紀付加コンプレックスの実態 とそのテク トニクスを明らかにするために,旧地質調査所,現在産総研地質調 査総合センターでは, 5人ほどの地質屋が地質図幅に関連した研究調査を実施 してきた.講演では,こうした研 究調査の成果を基に,付加コンプレックスの ダイナミックな形成過程について,滋賀とそ の周辺地域の地質を例にして紹介 したい.



(閉会後,懇親会を行う予定です)

滋賀県草津市下物町1091琵琶湖博物館 地学研究室内
(c) 地学研究発表会 after1997
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